『ソラトギンガ』感想

ひなたこうさん(クロスフォリオあります)による恋愛小説、『ソラトギンガ』についての感想です。
BOOTHにて購入することができます。

浜辺に『打ち上げられた』少女リンとの出会いが、ソウトの運命を変えてゆく──。
ほのぼの、そしてちょっぴり切ないラブストーリーです。

(BOOTH説明文より)

 ひなたこうさんの小説は、甘酸っぱい恋愛ものが多いように思うのですが、この『ソラトギンガ』もまた、甘くも切ない恋模様が描かれています。夏に不意に駆け抜けていった爽やかな潮風の、なんとなく甘じょっぱい、あの感じ。こんなくどい表現ではなく、まさにその一陣の風、そのもののような軽やかさで、感情を揺さぶってきます。エモいです。

 リンちゃんの可愛らしさやソウト君の初々しさもさることながら、思わせ振りな町長さん、クールな外見に反して情の厚いヒビキさんなど、世界は人の繋がりで回っていることが随所で感じられ、温かな気持ちで読むことができました。優しい人々に支えられて、この物語は成り立っているのだなと。

 そして作品の最初の方から匂わせておきつつ、最後に明らかになる大きな伏線の存在に、思わず最初から読み返したのはきっと私だけではないだろうと信じたいですね。なるほど、これもこれも、こう繋がっていたのか……! と、感動しました。その設定ゆえに、登場人物たちには苦悩が訪れるわけですが、それでも前を向いて歩くことを決めた彼女には、これからもきっと幸せな未来が続くのでしょう。

 感想シートでも述べましたとおり、煌めきに満ちたラブストーリーが好きな方には、是非オススメしたい作品です。