『月語りの魔女と泡沫の欠片 第一夜』感想

 ノベプラにて掲載されているほか、BOOTHでも購入することのできる、上月琴葉さんのファンタジー小説『月語りの魔女と泡沫の欠片 第一夜』について。

――私は紡ぐ、声なき声を月語りの魔女として――
世界になじめない女性風町月音は古本市でエールと出会い
月語りの魔女ライラとなる。
これはライラが初めての聞き手 ノクティアに語った、
遠い世界の日蝕の竜と魔女の悲しくも優しい物語。

(BOOTHでの紹介文より)

 おそらく、やや残酷な表現や恋愛要素があるからでしょうか。PG-12指定となっております。

 タイトルに『月語りの魔女』とある通り、またBOOTHでの紹介文にもある通り、昼の明るすぎる世界では生き辛い思いをしていた女性が綴る物語です。

 鮮やかな色合いの世界は多くの人にとっては美しいものなのだろうけれど、それが鮮やかに過ぎて視界を刺されてしまう人もいる。夜の闇を恐れる人もいるだろうけれど、静かで穏やかな夜は安寧のためにとても大切なもの。太陽は多くのモノを明るく照らし出すけれど、その強すぎる光に見えなくなっているものもまた、多くある。繊細な人ほど、月語りの魔女ライラさんの境遇には考えさせられる何かがあるでしょう。

 そんな彼女が今回語った作中話は、遠い異世界の物語。他人と違うことは、悪いことなのでしょうか? 王道に見えて、王道ではない。そんな、ドラゴンとお姫様のファンタジー物語です。

 作中全体を通して、集団に馴染みたくても馴染めなかった人々の悲哀が流れているように感じられました。疎外感を抱えて悩むことのあるような、繊細な方にはとてもよく刺さる物語だと思います。