『BIRD』感想

 ぐるぐるめーさんのサイト、『暗国の杜』に掲載されておりますほか、BOOTHでも購入できるようになりました『BIRD』について。

幼い頃に去勢されて、声変わりをしないまま成長した美声の吟遊詩人アルヤ。彼は旅の中で様々な人々に出会う。

(公式サイトより)

 一部、ややグロテクスな描写や性的な表現もあるため、R15指定となっております小説です。

 幼い頃の去勢、吟遊詩人など、説明文からだけでも中世ヨーロッパを感じさせるモチーフが随所に散りばめられており、歴史をモチーフとした小説なのかな? と思う方もおられるかもしれません。けれどこの小説は、一人の吟遊詩人の人生を辿りながら愛の形を探っていく、壮大な抒情詩のように感じられました。

 人生のままならなさや世知辛さ、厳しさ、理不尽さなどを克明に描きつつも、様々な人の抱える愛の形や行く末が根底に流れている作品です。主人公かつ語り手であるアルヤさんの穏やかな語り口もあって、なんとか最後まで読み切りましたが、感情の大きな荒波に揉まれてしばらく語彙力が彼方に流されていました。

 その容姿や歌声から天使と形容されることの多いアルヤさんですが、彼に親愛をもって関わった方々が後々人生を報われていることを考えると、本当に天からの授かり者だったのかもしれませんね。

 クソデカ感情に振り回されたい方には是非とも読んでいただきたいかなと思います。