トン、トン、と、俺が絡めてしまっている尻尾などものともせず、桜香は俺の腰をリズム良く叩いた。腰というか、尻尾の付け根というか。
落ち着かせようとしてくれているのかな、と思ったのは少しの間だけ。なんだろう、下半身がとてもムズムズとしてきて、いつの間にか尻尾も腰もゆらゆらと揺れていた。いや、そんな可愛い言葉じゃ足りないな。座っていたハズの布団の上で、はしたなく尻尾ごと腰を上げて、桜香の前脚に全力で媚びていた。で、俺まで煽っておきながら、当の桜香はしれっと俺の猫耳の毛繕いを続けている。俺の痴態なんか知ったこっちゃないよ、と言わんばかりに。
ついに我慢できなくなって涙目になりながら見上げた桜香の金色の目は、俺同様、情欲の炎で輝いているのに、以前までのように俺をがっつこうとしない。
もしかして、俺が大事にしろよ、なんて言ったから、こらえてる……⁉︎ ああでも、もう俺の方が、肉欲の火がつけられた体を持て余している。ジリジリと焦らされて、気が狂ってしまいそうだ。
「……んっ」
伸び上がって、桜香の鼻先に、俺の鼻をくっつけた。
「積極的だね、錦」
そう余裕ぶって笑う桜香に、自分から口付ける。ピチャピチャと音を立てて桜香の口を舐め回す。それでも、桜香は手を出してくれない。立派なソレはきざしている。なのに、俺が動くのを待って……。
ちくしょう、と心の中で吐き捨てた。
しとどに濡れた菊穴を、今更慣らすという発想もなく、涎を垂らすのをこれ幸いと胎を割り開きながら対面座位で桜香を咥え込んだ。いや、咥え込もうとした。いくらなんでも、俺のよりも大きくて立派な雄は、怖くて一気には挿れられなかった。まあそれでも前立腺に当たる程度にはサクッと入ってしまって、必死で嬌声を噛み殺した。
フーッ、と深呼吸することを心掛けて、更に腰を沈めていく。知らぬ間とはいえ、一度出産を経験したソコはやわらかく相手を迎え入れる。やわやわと甘やかすように食む動きで改めて大きさに感じ入ってしまい、桜香の頭を必死で抱え込んでの遅々とした動きで何とか腰を落とし切った。
うう、桜香の息遣いとヒゲの動きが、勃ってしまった乳首を余計に刺激して、辛い。もぞもぞと、落ち着かなさに身悶えしていたら、胸元がペロリと舐められて、刺激で余計に体がしなってしまう。流石に睨むように見下ろした先、桜香は、わざとらしくチュウと音を立てて俺の乳を吸いやがった。さっきも子どもたちが吸っていたから、そうじゃないかと恐れていた通り、ちゃんと母乳が出ているみたいだ……。あまりの背徳感に、目眩すら覚えた。
ああ、でも、それでも桜香を拒絶したいんじゃない、ただひたすら恥ずかしいだけなんだ。全部やるよ、って言ったこと、絶対に後悔なんかしてやるもんか。両腕でもアナルでも桜香をギュッと抱きしめ、全身で包み込むように、甘やかすようにして、俺は媚びた。ぬるま湯みたいな穏やかな快感も良いけれど、そろそろ据え膳を食えと、態度で訴えた。
「錦ってば、そんなにしたら、また孕んじゃうよ?」
桜香がニヤニヤと揶揄ってくるけれど、ヤる気なのは、わかってるんだ。
「桜香だって、こんなに大きくしておいて、余裕だな?」
笑い返してやりながら、片腕を桜香の背から離し、俺自身の腹部、ちょうど剛直の先を感じる辺りを撫でてみせる。あれだけ俺の体を散々に弄び、俺をこんなに淫らに躾けておきながら、今になってお上品に放置プレイだなんていただけない。桜香は、ちょっと無理矢理にでも俺をグズグズに鳴かせるくらいの方が……
果たして、俺の邪な思いは伝わったようだった。
一度目、無理矢理に拓かれて。二度目、無理矢理に快楽に叩き堕とされて。やっと三度目、心から望んで受け入れた。
乳飲み子を抱えているのにまた妊娠してしまったのは、ちょっとした余談だろう。
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