17 三度目の、正直?

 トン、トン、と、俺が絡めてしまっている尻尾などものともせず、桜香おうこうは俺の腰をリズム良くたたいた。腰というか、尻尾の付け根というか。
 落ち着かせようとしてくれているのかな、と思ったのは少しの間だけ。なんだろう、下半身がとてもムズムズとしてきて、いつの間にか尻尾も腰もゆらゆらと揺れていた。いや、そんな可愛い言葉じゃ足りないな。座っていたハズの布団の上で、はしたなく尻尾ごと腰を上げて、桜香おうこうの前脚に全力でびていた。で、俺まであおっておきながら、当の桜香おうこうはしれっと俺の猫耳の毛繕けづくろいを続けている。俺の痴態ちたいなんか知ったこっちゃないよ、と言わんばかりに。
 ついに我慢がまんできなくなって涙目になりながら見上げた桜香おうこうの金色の目は、俺同様、情欲の炎で輝いているのに、以前までのように俺をがっつこうとしない。
 もしかして、俺が大事にしろよ、なんて言ったから、こらえてる……⁉︎ ああでも、もう俺の方が、肉欲の火がつけられた体を持て余している。ジリジリとらされて、気が狂ってしまいそうだ。
「……んっ」
 伸び上がって、桜香おうこうの鼻先に、俺の鼻をくっつけた。
「積極的だね、にしき
 そう余裕ぶって笑う桜香おうこうに、自分から口付ける。ピチャピチャと音を立てて桜香おうこうの口をめ回す。それでも、桜香おうこうは手を出してくれない。立派なソレはきざしている。なのに、俺が動くのを待って……。
 ちくしょう、と心の中で吐き捨てた。
 しとどにれた菊穴を、今更慣らすという発想もなく、よだれを垂らすのをこれ幸いとはらを割り開きながら対面座位で桜香おうこうくわえ込んだ。いや、くわえ込もうとした。いくらなんでも、俺のよりも大きくて立派な雄は、怖くて一気にはれられなかった。まあそれでも前立腺に当たる程度にはサクッと入ってしまって、必死で嬌声をみ殺した。
 フーッ、と深呼吸することを心掛けて、更に腰を沈めていく。知らぬ間とはいえ、一度出産を経験したソコはやわらかく相手を迎え入れる。やわやわと甘やかすようにむ動きで改めて大きさに感じ入ってしまい、桜香おうこうの頭を必死で抱え込んでの遅々とした動きで何とか腰を落とし切った。
 うう、桜香おうこう息遣いきづかいとヒゲの動きが、ってしまった乳首を余計に刺激して、つらい。もぞもぞと、落ち着かなさに身悶みもだえしていたら、胸元がペロリとめられて、刺激で余計に体がしなってしまう。流石ににらむように見下ろした先、桜香おうこうは、わざとらしくチュウと音を立てて俺の乳を吸いやがった。さっきも子どもたちが吸っていたから、そうじゃないかと恐れていた通り、ちゃんと母乳が出ているみたいだ……。あまりの背徳感に、目眩めまいすら覚えた。
 ああ、でも、それでも桜香おうこうを拒絶したいんじゃない、ただひたすら恥ずかしいだけなんだ。全部やるよ、って言ったこと、絶対に後悔なんかしてやるもんか。両腕でもアナルでも桜香おうこうをギュッと抱きしめ、全身で包み込むように、甘やかすようにして、俺はびた。ぬるま湯みたいなおだやかな快感も良いけれど、そろそろぜんを食えと、態度でうったえた。
にしきってば、そんなにしたら、またはらんじゃうよ?」
 桜香おうこうがニヤニヤと揶揄からかってくるけれど、ヤる気なのは、わかってるんだ。
桜香おうこうだって、こんなに大きくしておいて、余裕だな?」
 笑い返してやりながら、片腕を桜香おうこうの背から離し、俺自身の腹部、ちょうど剛直の先を感じる辺りをでてみせる。あれだけ俺の体を散々にもてあそび、俺をこんなにみだらにしつけておきながら、今になってお上品に放置プレイだなんていただけない。桜香おうこうは、ちょっと無理矢理にでも俺をグズグズに鳴かせるくらいの方が……
 果たして、俺のよこしまな思いは伝わったようだった。
 一度目、無理矢理にひらかれて。二度目、無理矢理に快楽に叩き堕とされて。やっと三度目、心から望んで受け入れた。
 乳飲み子を抱えているのにまた妊娠してしまったのは、ちょっとした余談だろう。

Cherry × Pussy』へ戻る