奥の奥、一番弱いところにグリグリと刺激を与えられ、甘ったるい悲鳴が止められない。
「や、あ、ああ、やめ、や、」
「や、じゃないよね?」
「ひあああっ!」
後ろから頸を噛まれてしまうと、もうダメだった。桜香は、俺を孕ませる気満々のようだし、俺もそれに逆らえない。
ガクガクと震えるだけの体から更に力が抜けて、上半身がシーツの海に完全に沈む。楔に貫かれた腰だけが高く持ち上げられ、慣れることのない羞恥に余計に涙が溢れた。
「やぁ、も、やにゃの、ふ、みゃあああああああ⁉︎」
慣れないといえば、この、胎内に熱い飛沫を受け止めた後の灼熱のような痛みも、何回も孕まされているのに、どうしても慣れられない。まあ、排卵を誘発するための痛みなんだから、慣れてしまうと意味がないのは理屈ではわかる。でも痛い。
フーッ、フーッと必死に荒い息を整えていると、既に自身の後始末を終えたらしい桜香が、そっと俺の尻尾を横に持ち上げ、俺の代わりに尻の孔を舐め始めた。イった直後の、ひどく敏感な体には、これもツラい。ついでに、色んな意味で恥ずかしい。元人間の常識的にも、体の硬さ的にも、後始末で感じてしまうのも。
「んっ、ん……」
「まぁた声我慢しちゃって、錦ったら」
頼むから、そこで笑って息を吹きかけないでほしい。そして、そんなにリズム良く尻尾の根元を叩かないでほしい。今まさにヤられたところだっていうのに、もう体はその気になって腰ごと尻尾を持ち上げようとしている。
本当に、かつて桜香に宣言された通りに、俺の身も心もネコにされてしまったなと思う。正確には、オメガの猫又の雄、なんだろうけど。
「そういう意地っ張りなところも、可愛いよ」
「うー……」
「こんなに素直でヤらしい体にされちゃったのに、まだそうやって恥ずかしがるの、本当にいつまでも初心で可愛い」
「だっ、誰の所為だと……!」
ハッとして言葉を飲み込んだ時には、もう遅かった。まだ噛み跡も治らない後ろの頸にザラリと濡れた舌が這う。桜香の片手は俺の尻尾を掴んで引っ張り、もう片方の手は俺の胸元でまだ赤く色付く乳首に軽く爪を立てた。
「〜〜〜〜〜っ!」
カクカクと無様に腰が揺れ、ほとんど色のない精液を中心から吐き出した。
「ふふ、僕の所為かな? 何も知らない錦をこの世界に攫ってきて? こんな可愛いメスネコに仕込んじゃって? いっぱい種付けしてるのは、確かに僕だもんねぇ?」
声こそ笑っているみたいに聞こえるけれど、尻尾を引っ張っていた桜香の手は俺の鈴口をいじり始めたし、乳首はまだ捏ねられてるし、頭上で俺の猫耳に息を吹きかけながら言われると、本当に、居た堪れない。だって、それは俺が教えてしまったことだから。
それこそ猫のような交尾しか知らなかった桜香に、人間同士のある意味濃厚すぎるセックスを仕込んだのは、俺なんだよなぁ……。ううぅ。なまじ桜香が、猫又という、そういうのが気持ちイイと理解できる種族なのも、悪かった。
「考え事なんて、余裕だね?」
次いで与えられた痛みですら、潮を吹くほどの快感に変換してしまうようになった自分が、心底堕ちてしまったのを感じる。結局のところ、俺はもう堕とされていて、桜香にもたらされる全てが気持ち良くて仕方ないんだ。
ああ、お腹が、切なく疼いている。きっと、もう、オメガの発情フェロモンも出ているだろう。
俺は桜香に媚びるべく、メスネコが誘う声を出した。
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