Cherry × Pussy

桜の猫又×意地っ張り大学生(BL)
当作品には人外・人外化・ケモミミ尻尾・獣姦・リバ・オメガバース・男性の妊娠出産を匂わせる描写などが含まれます。
ラストはハピエンです。これらの要素が好きな方、大丈夫な方を歓迎いたします。

キャラクターデザインはHEMO様(サイト:HEMOMO)に依頼しました。

通信頒布→クロスフォリオ

イラスト

いただきもの

HEMO様(サイト:HEMOMO)に描いていただいた、メインキャラクターたちのデザイン画です!

同じく、HEMO様(サイト:HEMOMO)に描いていただいた、冒頭部のコミカライズです!

本文

  • 01 プロローグ

     奥の奥、一番弱いところにグリグリと刺激を与えられ、甘ったるい悲鳴が止められない。「や、あ、ああ、やめ、や、」「や、じゃないよね?」「ひあああっ!」 後ろから頸《うなじ》を噛《か》まれてしまうと、もうダメだった。桜香《おうこう》は、俺を孕《…

  • 02 満月の夜、桜隠し

     その日は桜がほぼ満開で、次の週末までに雨が降るようなら散ってしまうなぁと、大学の授業中も、どうでもいいことばかり考えていたのを覚えている。 飼っていた猫の香《こう》が行方不明になってから、半月ばかり経っていた。元は野良猫《のらねこ》の香《…

  • 03 異世界、猫屋敷

     これでもかというくらい、グルグル巻きに縛《しば》られて、連れてこられた場所は確かに屋敷《やしき》と呼ぶに相応《ふさわ》しい、和風の豪邸《ごうてい》だった。グルリと俺を取り囲む、人間大の、猫、猫、猫。剣呑《けんのん》な光を宿した何対もの目に…

  • 04 知らぬ間に、嫁入り

     ぬっと横からサバトラの(灰色に縞模様《しまもよう》のある)猫が顔を出してきて、衆人環視《しゅうじんかんし》の……いや、衆猫環視の中で香《こう》に骨抜きにされていたことに思い至った。顔が、とても、熱い。 真っ赤になった俺に、サバトラの猫も鼻…

  • 05 初夜、不穏な幕開け

     眼前に広がるのは、絶対に一人で寝るには大きすぎる、布団《ふとん》。「まあ、今の僕には、まだ錦《にしき》をどうこうできる胤《たね》はないんだけどね」 ニコニコと鳴く、香《こう》。「そこまで痛くもないはずだし、サクッとヤることヤっちゃおうよ」…

  • 06 流され、黒歴史

     ぐう、と、息を詰めた。そもそも、男同士で性行為をすることについて考えたことなんて、ない。「錦《にしき》」 桜香《おうこう》が化けたと思われる青年が、俺の名を呼ぶ。ご丁寧《ていねい》にも、餌《えさ》を強請《ねだ》るのと同じ、上目遣いで。「教…

  • 07 自覚なく、侵蝕される

     目が覚めると部屋の外はうっすらと明るく、夜が明けたことを知った。 身動《みじろ》ぎしようとして、まだ桜香《おうこう》を抱いていたことに気付く。抜くべきモノをそっと抜こうとしたのに、桜香《おうこう》はまだ俺から搾《しぼ》り取りたいらしい。肩…

  • 08 因果応報、自縄自縛

     桜香《おうこう》に逆らえないまま爛《ただ》れ切った日々を過ごし、およそ半月。最初の夜こそ人間に化けていた桜香《おうこう》だったけれど、日に日に猫らしさを増して、最近はただの二足歩行の巨大猫に戻っていた。それでも俺は桜香《おうこう》に胤《た…

  • 09 新月、閨の中

     桜香《おうこう》は、その言葉通り、俺をグズグズのトロトロにしたいらしい。丁寧《ていねい》に、けれどしつこく、体中を舐《な》め回しては、俺が反応した箇所をいじめる。 何度も精を放った俺はドロドロで、既に息切れしていたところに追い討ちを食らい…

  • 10 二度目、上書き

     痛いだけなら良かった。それだけなら良かったんだ。俺は悲劇《ひげき》の主人公なんだと、自己|陶酔《とうすい》も現実|逃避《とうひ》もできた。耐えれば終わると、信じることだってできた。なのに尻の中には快感を拾うポイントなんてのがあるから、その…

  • 11 発情猫は、狂い鳴く

     胎内《たいない》に……感じてはいけない所に感じる、|桜香《おうこう》の熱。ふるりと背筋が震《ふる》えたのは、変化の予兆だったのか。 熱い。いや、寒い。体の奥から熱が上がってきて、なのにそれが足りなくて、矛盾した感覚に、更に混乱する。 熱い…

  • 12 閉ざされていく、心

     心を閉ざして、理性も仕事を放棄《ほうき》して。そんな俺の反応がおかしいことに、|桜香《おうこう》は直《す》ぐに気付いたようだった。「錦《にしき》?」 名前が呼ばれたから、喘《あえ》ぎながらも目を向けた。向けた先の大きなキジトラの猫は、一瞬…

  • 13 世界は、壁の向こう側

     |桜香《おうこう》が懸命《けんめい》に、何も反応を返さなくなった俺の世話を焼くのを、壁を何枚も隔《へだ》てたような向こうから認識していた。 彼は俺に口移しで食事を摂《と》らせ、俺を抱きしめながら寝る。寝る時間は猫らしく、昼間。壊れ物を扱う…

  • 14 それは、夢だったのか

     誰かに呼ばれた気がして、首を傾《かし》げた。「どうした? 佐藤」 同じ講義を取っている友人の懐かしい声が、懐かしい名前を呼んだ。 ……懐かしい? どうして? 長い長い夢でも見ていたかのように、思考がふわふわとして、定まらない。 なんでもな…

  • 15 夢よりも不思議な、現実

     ミューミューと、か細い鳴き声がする。体は冷たくて重くて、多分、芯《しん》の方がまだ寒い。でも、そんな俺を、必死に温めようとしてくれている存在を、確かに感じた。 長く長く、現実|逃避《とうひ》をしていたけれど、結局は|桜香《おうこう》に絆《…

  • 16 郷に入って、郷に従う

     猫又《ねこまた》たちの世界には、俺の世界とは異なり、第二の性別があった。相手を孕《はら》ませるアルファ、世の中の大多数を占め、雄雌《おすめす》の括《くく》りに縛《しば》られるベータ。そして、定期的に発情期《ヒート》を迎《むか》え、仔を孕《…

  • 17 三度目の、正直?

     トン、トン、と、俺が絡めてしまっている尻尾などものともせず、|桜香《おうこう》は俺の腰をリズム良く叩《たた》いた。腰というか、尻尾の付け根というか。 落ち着かせようとしてくれているのかな、と思ったのは少しの間だけ。なんだろう、下半身がとて…

  • 18 エピローグ

     ぽかぽかと陽《ひ》の当たる奥庭で、日向《ひなた》ぼっこをする子どもたち。一際《ひときわ》立派な桜っぽい大樹は、今年も満開に咲《さ》き誇《ほこ》っていた。 俺は元人間で、他の猫たちや子どもたちみたいに器用に樹に登れないから、根元に座らせても…